＃ 凡夫にしてそっと英雄

ただそれだけできれば。

Ｔたくんの話。
気質的に人の補完ばかりしてたがる、穴があったら埋めたい俺が唯一、憚らず共にやりたいように調子に乗れる相方。
それが一歳若い、彼だった。
趣味嗜好が恐ろしい打率で合致し、一方の深まりがそのままもう一方にも作用するという相乗関係を築くのにそう時間はかからず。
有り体に言えば、互いに影響しあえる一番の同志になっていた。
うたうこと、料理、熱意、遊び、旅、青春。
多くのキーワードが共有され、時に無敵感を感じながら楽しんだ。

そんなＴたくんとも距離が離れ、別の道を選んで時は経ち。
俺よりもロマンチストで理知的で青臭い、彼がどんな道を歩むのか。
ロックな一報を、楽しみにしている小春の日々。